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3/01/2008

2008.3 魅惑の蕾、カルチョーフォ

野菜のフォルムからデザインのアイデアを。魅惑の蕾、カルチョーフォ

いよいよ春も本番。イタリアでも街路に桜や梅(といっても日本の梅は、手に入らない様で杏やプルーンの樹である確立が高い)、そしてミモザが咲き誇り、メルカートの雰囲気も街の色も明るくなってまいりました。ミラノサローネへご出発の皆さんは、準備OKですか?今年は航空券も高く、それなのにホテルの予約も更に困難だという話を聞きました。見本市会場の外、あんなに空いたスペースがあるのだから、キャンピングカーをみっちり停めて簡易キャンプ場にすればどんなに儲かる…いや、若いデザイナーさん達が助かるかなんて考えるのは私だけでしょうか?

 春野菜に心ときめく

ここまで書きながら、手をしばし止め、近所の八百屋に行ってまいりました。今本棚が足りず、しかし買うと高いだけで部屋にあわないので、MIRRO2号の提案で果物の木箱を八百屋兼果物屋に行ってもらって来るという計画を実行しております。親切な八百屋さんは“3月に入ればアルゼンチン梨が入ってくるけど、その箱ならすごく丈夫で本棚にぴったりよ!”と助言をしてくれ、更に木箱を取っておいてくれました。見たらホントに素晴らしい箱ではないですか!MIRRO2号による本棚ができましたらまたご報告いたしましょう。
 さて、京都に京野菜があるように、見知らぬ土地に行くと知らない野菜や果物と出会う事が大いにありますね。冬から今の時期にかけて、こちらで良く見られる野菜のひとつにカルチョーフォがあります。朝鮮アザミの食用改良種だそうで、花の巨大な蕾と、その下の茎の部分を食べます。日本にはアメリカから入って来たのかな?アーティーチョークの名前で知られているけれど、お値段も高いのであまり馴染みのない野菜です。しかしこれが、私にとっては病みつきになる美味しさ。今日もまた、ついつい買って来てしまいました。

 味もフォルムも芸術的

 カルチョーフォの形、近いものを表現しなさいと言われれば、蓮の花の蕾でしょうか。ランプのデザインを探しているとき、美しい蓮型ランプを見た記憶がありますが、調べると、どうやらMATERIALISE.MGXのデザイナー作品だったようです。しかし、どちらかと言うとLilyというランプの方がカルチョーフォに似ているような。去年のサローネサテライトでも、花や自然をテーマにした作品が多数ありました。しかし“カルチョーフォは食べる物”という執拗な目的から、私にとっては花ではなくあくまでも“野菜”美しく美味しい野菜なのです。

そんな美しい野菜からアイデアを得、デザインを起こした有名デザイナーが存在します。大御所ポール・ヘニングセン(デンマーク18941967)。ルイスポールセン社と共同で数多くの照明デザインを手がけています。カルチョーフォ型のランプは“PH Artichok”(同社の素晴らしいホームページがあるのでぜひ拡大したり、縮小したりして見てください。下記にリンクをしています)、実際に何枚花びらがあるのか数えたとは書いていませんが、じっくり観察し研究し生まれた作品であることは、作品自体が物語っています。他にも記憶力を全開にしてみると、デザインの中にも名画の中にもカルチョーフォきりがありませんカルチョーフォで本が一冊書けるかも?重いながら食欲も湧いてきます。

二種類の蕾、味も形も違います。

さて、本物のお野菜のカルチョーフォですが、ロマーノ又はマンモレ(辞書で引くとスミレの意味なのですが、八百屋ではこう呼んでいる)と呼ばれる丸っこい花びらのものと、スピノーゾと呼ばれるトゲの付いているものの二種類が見られます。実際は更に細かく種類が分かれるようですが、この2つを押さえていればまずはカルチョーフォ中級者。形から見ると、ヘニングセンのランプはカルチョーフォロマーノのイメージなのでしょう。

(写真はカルチョーフォ・スピノーゾ。ジャガイモと一緒に煮たり、パン粉とオーブンで焼いたり、色々おいしくいただけるのです。

スピノーゾは特に棘が痛いので、調理の下ごしらえでは、やわらかい花びらが出るまで用心深く外の花びらをはがした上、頭の部分をちょん切って、更に半分に割り、中の綿のようなシベを取り除きます。灰汁もすごいので手が汚れますし、しばらく小麦粉を溶かした水につけねばなりません。生でも食べられますが、くたくたになるまでジャガイモや鶏肉と煮る、オーブンで焼くとホクホクした歯ごたえがたまりません。リゾットもスープもこれまた美味!家で調理する場合は、この喜びの瞬間にたどり着くまでが、なかなか大変なのですが

この春ミラノ(と言わずイタリアならどこでも。イタリア以外でも機会があったらぜひ!)に来て、メニューに困ったら、「クアルシアシ、ピアット、ディ、カルチョーフォ~!(何かしらカルチョーフォの料理を~!)」と言ってみてください。売り切れていない限りは、何かしらおいしい一皿が出てくるかと。 

〔参照ホームページ〕

Louis Poulsen

http://www.louispoulsen.com/in/Designers/Poul%20Henningsen.aspx

PH Artichokのページ

http://www.louispoulsen.com/in/Product/Pendants/PH%20Artichoke.aspx?description=
MATERIALISE.MGX
LOTUSLILY

http://www.materialise.com/materialise/view/en/114997-Lotus.MGX.html

http://www.materialise.com/materialise/view/en/557533-Lily.MGX.html