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5/01/2007

2007.05 アーティストが描く街とは?

L’arte sostiene l’opera del mondo
アーティストが描く街とは?

春を見ぬうちに夏がもうやって来たか?と思うほど暖かい日が続いていたミラノ。しかしここへ来てググッと温度が下がり先日は8℃。雨も降りました。水不足解消のきっかけとなってくれると良いのですが。“地球がおかしい”という声をよく耳にしますね。こちらイタリアでも、温暖化の問題はよくメディアに取り上げられております。映画の中では何度もヴェネチアは海底に沈んでいますし

 日曜に車が使えない都市なんて?

ミラノには、車でのミラノ侵入が禁止される日曜日があります。お役所が日時を定め告知がなされ、その日曜日は特別の許可を得た車、特定の職業の人の車以外が街を走ると罰金を取られます。特に暖房などで空気が汚染される冬には数回行われるこの自動車禁止Day、せっかくのお休みに家族で出かけたい方は不便よね~と思いつつ、ミラノの排気ガスも温暖化に一役買っているんだなぁ、そこまでの処置が行われるという事は、普段私達は一体どんな空気を吸って生きているのだろう?と色々な想いもまた頭をめぐります。
 少しネガティブな導入になってしまいましたが、少し前には気が付かなかった事、無感覚になっていた事を、住む場所を変えた事によってか、あらためてリアルに考えることが多くなって来ました。比較する対象が出来るとやはり、Aに対してBはどうだとつい何かにつけて気になってしまうものなのです。日本では東京で仕事をしていましたが、狭い道に多くの車、交通渋滞は当たり前。しかし交通機関は地下鉄バスとかなり頻繁に、そして時間通りに到着するというのは、当たり前の事でした。仕事で新規のクライアントに会うなんて時は、時間に遅れず願わくは10分ほど早めに到着するというのが理想でしたから。しかし、同じ都市でもミラノの公共交通機関はよくストライキのためにストップしますし、電車も普通に遅れます。はじめは信じられませんでしたが、慣れてくると案外今までバスを使って行っていた場所も徒歩で行ける事に気付いたり、その日に組んでいた予定をずらしたりすることが案外苦もなく出来るようになってきます。人間の適応能力も不思議と発達してくるものなのです。そんな風に慣れてきたところで用事を抱え東京に戻ると、24時間日曜日も勿論開店している店、正確に到着する電車、動く人の波に逆に息苦しさを感じてしまう事も。息苦しさの反面、近代的な高層ビルが立ち並び、六本木ヒルズの様に住居、文化、産業すべてを内包してしまうような総合施設を中心とした都市計画、衛星都市も駅ビルを中心として、交通機関の巡回の便宜を全て配慮し住みやすく便利な街づくりを行っている日本は、やっぱり便利。特にコンビニのコピーはと連挙しはじめるときりがなくなってまいります。さてさて、本当に住みやすい街ってどんな街なのでしょう?

 アーティストの視点で描かれる都市

 イタリア人が都市に描くイメージとは一体どんなものなのだろう?今、MIRROのメンバーROCCO FIUMARAが取り組んでいる作品は、そんな好奇心を持つ私にとっては見逃せない展覧会のための作品。主催者側から依頼されたテーマは“Uno sguardo sulla citta’punto di vista insolito”いつもと違った視点で見た都市。イタリアの若手アーティスト達が、それぞれの視点で異なる表現方法で、それぞれの都市を描くという趣向です。

作品は全て販売する事を前提にしており、今回の収益はケニア、ナイロビの学校建設計画(Maurice Otunga)のための資金に充当されるとの事。絵描きになると、必ずと言って良いほどこういったチャリティー計画に作品を寄付するように声をかけられる機会があります。絵描き達は寄付をするならば、しっかりそのお金が目指すところに届いてほしいものだ!とまず願いながら、腹を決めて作品を提供することになります。近年度重なる自然災害等で、募金や物的支援などを行われた方は実感を持ってらっしゃる事と思いますが、残念な事に行方不明になるお金や資源は後を絶ちません。こちらの団体は、収益をどこの国にどのような事に使ったかという事を大変正確に毎年公表している事が大変印象的。提供する側も心おきなく仕事ができるというものです。出品者の中にはLetizia FornasieriGiovanni Frangiなどを筆頭に(日本では紹介されていないと思いますが)大変名の知られた実力派の画家の名が。その最新作が観られると共にもしかしたら購入のチャンスもあるという展覧会。アートの中に表現された、架空の街がナイロビの小学校の一部に形を変えて実現する現場を、今回は初日に(実際は搬入時に一足お先に!)観にいってまいります。


展示情報
Associazione ODIEMME (OPERE DEL MONDO)
L’ARTE SOSTIENE L’OPERA DEL MONDO
Uno sguardo che cambia I luoghi
場所:Casa dell’Energia (p.zza Po,3 MILANO ITALIA)
期間:2007516日~531
 10
時~18時まで。日曜休館 入場料無料

出展作家;Marta Carenzi,Giovanni Chiaramonte,Marco Cirnigliaro,Giuliano Crivelli,Rocco Fiumara Giancotti,Letizia Fornasieri,Giovanni Frangi,Francesco Toniutti