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6/01/2007

2007.06 風邪にも負けず、美術展。

風邪にも負けず、美術展。

先週今週と、ここミラノは不安定な気候。薄手のコートや何ならセーターを引っ張り出したいような寒さの後には、湿気を伴ったムワッと暑い日が待っている。「のどが痛い」とつぶやきゴホゴホ咳をするサラリーマン、電車でブンブン鼻をかむ女子学生。“風邪が流行ってるのか。いやだなぁ”と思いつつ、体だけは丈夫が取柄の私も、気まぐれな初夏の天気と疲労のためか、ついに流行りものを頂いてしまいました。

 風邪をひいたらどうするのか?

ミラノに来てから、そういえば風邪を引いたことがありませんでした。風邪を引いたらとりあえず、ビタミンCを取る。アスピリンを飲む(風邪薬というイメージは日本では薄いアスピリン。こちらの人は何かに付けてアスピリンを常用するのです)。暖かくして寝る。仕事の予定をずらす。仕事を休む。そして行きたい美術展を我慢するしかし、これが一番の難関だったのでした。

 前回ご紹介しましたODIEMMEの展示“L’ARTE SOSTIENE L’OPERA DEL MONDO”を友人達と観に行くという計画。(詳細は前回5月のブログをご覧ください!)チャンスを逃すと2日後には展示終了というタイムリミットもあり、自分の体力を過信して強行。幸いその日は暖かい日差しに恵まれ、喉の痛みも体のだるさも一瞬忘れるような爽やかな風も時折感じられ、たわいもないおしゃべりをしながら会場となったCasa dell’Energiaへ向かいました。
 初日のオープニングパーティーと講演会では、来場者が会場を埋め尽くし、あまりにも大盛況であったため、そしてすぐ後に予定が詰まっていたため、作品をまともに見ることができませんでした。しかしこの日は、会場には私達以外一切来場者なし!ゆっくり鑑賞できたので良いとも言えますが、これだけ静かだと、もっと積極的に広告をするべきではないのか?という疑問も同時に湧いてきます。とにかく数点売却済みの印が付いていたので、チャリティーの目的はそれなりに果たせているのでしょう。

 都市とは?~私達もその景色の一部なのか。

 会場で一際目を引く存在が、マルコ・チルニリアロの作品4点の小品と1点の大作からなる“交差点シリーズ”。交差点は、十字路(インクローチョ)とも言いますね。十字というと十字架(クローチェ)を思い出します。日々の生活の中で何気なく通り過ぎ、すれ違う(インクロチャーレ)人々や物事、画面全体に交差点を描き入れるということは、かなり引いた視点を取っていると思われます。ちょうど横断歩道でふと足を止めて、欄干に手をかけ身を乗り出して下を覗き込むのに似た感覚。普段ならば群集の中にまぎれて、数多くのすれ違いに身を委ねている私達。この絵を見ていると、普段見られない、つまり普段はそこを渡り通り過ぎる一人の人でしかない自分が、その景色の全貌を第三者の視点から眺めるという不思議な感覚に誘われます。いつかご本人に、どのような気持で描かれたのか伺うことができたなら、またこの場でお伝えしたいと思います。
 そして忘れてはいけないMIRROのメンバー、ロッコ氏の作品。小ぶりであるのが幸いしたのか数点すでに売約済みとなっていました。オープニングでも「これはミラノの景色か?なにか行ったことのあるような」という感想も聞かれた作品。無機質でありながら生き生きした色を使い、しかし何かノスタルジーを誘う画面。約3メートルの壁面、個々に当てた暖色系の照明がさらに効果をあげて、それぞれの絵と静かに対話できるようなスペースとなっていました。

 お粥のかわりに何を食べる?

 展覧会ツアーを終えた後、それ見たことか!といわんばかりに私の風邪は悪化。数日まともに会話ができないほどの咳に悩まされ、下を向いては息ができず、いや今回はホントに辛い一週間を過ごしました。そんな中でイタリアではお粥のかわりに(お粥も食べますが)pasta in bianco(パスタ・イン・ビアンコ~白いパスタ)を食べるということも知りました。つまりは何も味付けしていない、ゆでただけのパスタということなのですが。さすがにそれでは物足りないので、皆さんバターを乗せたり、オリーブオイルや粉チーズをかけて食べるそうです。季節の変わり目、皆さんもどうぞ体調にはお気をつけて!