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8/01/2008

2008.08 頭隠して尻隠さず…

夏の散歩道

ミラノから車にて自宅へ移動中、ある地点で“頭隠して尻隠さずかぁ。”とひとりふとつぶやいている自分に気付きました。あれっ?なんでこんなことわざが浮かぶのか??次の日、また同じ道を通っているときにその理由を発見。大型スーパーの建設予定地を囲む壁面のイラストレーション!そのまた次の機会に同じ道を通ったとき、写真をパチリ。土の中に頭をつっこんでいる人々の変なイラストです。イラストの下に“IL BELLO è TUTTO SOTTO(良い事は全部下(見えない所)に)”と書いてあるので、もうすぐ完成するスーパー自体が良いもので、それが隠れたところにあるっていう意味?もうちょっとでお目見えするから待っててねっ!て感じなのでしょうか。どうやら頭隠してとはまったく関係なかったみたいです。ちなみに“頭隠して尻隠さず”のイタリア語バージョンはあるのか?と疑問に思い小学館日伊辞書をひいてみると、ありました。“fare come struzzo, nascondere la testa nella sabbia(ダチョウの様に、頭を砂の中に隠す)”しかし問題をやりすごすという意味で使われるようなので、これまた日本のことわざとはちょっと違う様。

 馬車で登れない道?

車での移動中、一瞬にして過ぎ去る景色や標識について、じっくりと考えをめぐらす事は難しいものです。ましてアナタが運転手だったりしたら、ぼっと考えたり何かを見つめて振り返ったりなんて危険すぎる!ところで、うちにはもうすぐ4ヶ月になる元気な長男が居ります。毎朝のお散歩はよく親の都合で変更してしまうことが多いのですが、この夏は、近所はもちろん車にベビーカーを積んでちょっと遠出してのお散歩など、お散歩コース開拓を試みております。彼はベビーカーに乗ると数分後には夢の中なのですが、私や夫はとにかく、一時間もしくはそれ以上、黙々と歩き続けます。歩きながら本を読むわけにも、仕事をするわけにもいきませんから自然と道端観測に力が入り、車と違って立ち止まったり、何か興味深いものがあったらじっくり観察したり考えたりする事も。先日Barzioという、日本で言うと軽井沢のような避暑地に友人をたずねて行ったときも、夕方はやっぱりお散歩。Barzioは山の上の街なので急斜面が多く、舗装された道路もきつい坂になっている箇所があります。そんなところで見付けた交通標識馬車禁止!ですか?!急すぎてひっくりかえっちゃうのでしょうか。幸いにもベビーカー禁止というのは、まだ見たことはありません。

こちらに来てから、トレッキングが好きという人に数多く出会いました。“妊娠中も大きなお腹で山に栗拾いにいったわ~”“生後3ヶ月の子供をリュック型のおんぶ紐で背負って山に登ったよ!”なんて話も聞きました。山で足を滑らせて怪我をしたという話もまたよく聞きます。そんな背景もあるのか先日のお散歩道では、パーキングマークの標識に、山歩き姿のピクト君を発見。P+登山客という事は、登山客専用パーキングなのか、パーキングだけど登山客用のスペースもあるよって事なのか(椅子や水道があったので)ちょっとわかりづらいマークです。そしてお散歩好きには欠かせない遊歩道。さすがイタリアは自転車愛好家人口も多いので、左人間、右は自転車というサインをよく見かけます。しかし大概みんな真ん中を歩いたり走ったりするので、サインは無視されがち。自転車もスポーツサイクル、家族全員マウンテンバイク、そしてママチャリの学生まで様々。先日見かけたボロチャリ叔父さんは、上半身裸で、かごの中には使い古したスーパーの袋とボリュームを最大にしたラジオ。イタリアのカンツォーネをバリバリに流しながら、同じ道を何度か往復しているようでした。お散歩に、人間ウォッチングはやはり欠かせませんね。興味深い人材を見かけると、二人以上でのお散歩の場合は、職業当て、人生予想ゲームにまで会話が発展したりします。

 標識は誰が整備するの?

壊れている信号機、青信号の真ん中に変なステッカーがいたずらで貼られちゃっている信号機、黄色の点滅信号だけど、何でそこに設置されたのかわからない信号、ねじれた行き先表示の看板、道端に捨てられた(?)進入禁止の標識、見ると混乱して事故をおこしそうに感じるミラー(!)などを見かけた事が何度かあります。何度か通っている散歩道でも、3度目ぐらいにやっと気付いた一方通行の標識が。いつの間にか後ろの木が育ってしまったのか、木に負けないような高さで設置してみたのかわかりませんが、この道の一方通行標識はこれひとつのみ。秋になり、冬が来たら葉が落ちてよく見えるようになるから放置というわけでもなさそうです。一方通行が多いイタリアの街中。逆走やスーパーバック(バックで10m以上ぎゅんと走る人を何度か見かけたことが!)での走行には、くれぐれも気をつけてくださいね。

 

写真
写真1:建設現場を覆うイラスト。
写真2
:はじめてみた交通標識馬車禁止!
写真3:Barzioは急斜面が多いので、ベビーカーも独特な走法を(?!)。もしくはベビーは担いで。
写真4:左:パーキング+登山客。 中:遊歩道。左は人で右はチャリ。右:一方通行標識が、木に隠されている。

7/01/2008

2008.07 コモに行ってみた。

観光地、違う角度でまわってみる。

8月、夏本番ですね。家中で私ひとりだけ、なぜかボコボコ蚊に刺され、ちょっと納得がいかない今日この頃。食べるものも生活習慣もほぼ同じ中、なぜに私だけこうも人気があるのか?私を刺した蚊達に、できれば理由を聞きたい所です。
 さて、8月になると北イタリアの企業も夏休みに入るところが多く、本格的なバカンスシーズンに突入します。家族不和や虐待など、最近寂しいニュースをよく耳にしますが、実際のところ大半の家族は皆で過ごす休暇を楽しみにしています(ぜひ心からそうであって欲しい!)。この時期、主要道路は荷物を車からはみ出すほど積載した車が沢山!休みが少ないお父さん達も、一足先に休暇を満喫している奥さんや子供とせめて週末だけは合流しようと、金曜の夜や土曜の朝に車をかっ飛ばして山や海に向かうのです。


 ミラノ近郊の避暑地

都心から車で1~2時間程度で到着する観光地はやっぱり手軽で人気。日帰り旅行で伊豆や千葉に行くような感覚でたどり着ける湖、いまやジョージ・クルーニーの別荘があることで、更に有名になってしまったコモに先週行ってみました。コモ市の中心街から見る湖は、あまりにも観光化されすぎていて、避暑って感じではないのですが、大きなコモ湖を取り囲む市や町の中にはアメリカやヨーロッパ各国からのリッチな観光客をターゲットにした高級リゾートも数多くあるようです。

さて、高級リゾートとはまったく縁遠い私達。どこかに座ってジェラートでも食べますか!っと思った所、またもや建築物辞典が頭にインプットされているMIRRO2(旦那です)の一言『ここにはGiuseppe Terragni(ジュゼッペ・テラーニ)の建築物が沢山あるはずだよ!』に、あるものは見とかなきゃ根性がくすぐられ、街を端から端まで巡る事に。

 

戦後イタリアのモダニズム

ムッソリーニ政権下で活躍した建築家、テラーニ。合理主義建築家と呼ばれています。ファシズムでは、国家の統一国力増強が第一であるため、自由な思想や行動が抑制されていました。そんな中で都市計画の最先端に立った建築家。整ったラインとそれとすぐわかるタイポグラフィが目を惹きます。調べてみると日本でも98年に水戸美術館にて展覧会が行われていたようですね。建築家の詳しい履歴などはネット上に溢れているようなので、今回は午後の限りある時間内で回った3つの建築の写真を掲載しましょう。


Ex Casa del Fascisede del comando della Guardia di Finanza

一番有名かもしれない旧カサ・デル・ファッショは、現在財務境警備隊の所有となっています。見学には事前予約が必要とインフォメーションで聞いたのですが、もしかして入れるかも?と思って受付にいる警官に恐る恐る聞いてみたところやっぱりダメでした。予約の電話番号等、親切に教えてくれたので、次回は内装も見てみたいと思います。


NEGOZIO VITRUM(ヴィトルムショップ。ブティックになっています)。コモの大聖堂のまん前にあるお店です。振り返るとドンとそびえる大聖堂の、イタリアゴシックのファサードとの対比が何とも言えません。



コモのメルカート。中は今も市場としてしっかり機能しています。 

他、湖畔を散歩し始めるとすぐに目に入るHotel Metropole Suisseもテラーニの作品。他にもコモ中心街のど真ん中の中心部にジュゼッペ・テラーニ財団があるだけあって(偶然にというか必然的に前を通り過ぎ気付きました)、少し足を伸ばせば他の作品もここコモにはわんさか存在しています。

 興味のある方は、コモ大聖堂の脇にあるインフォメーションにて、テラーニ建築物マップがもらえますので(2008年現在)寄ってみてはいかがでしょうか。

 

 帰りたいのに○○がなくて!

 車での帰り道、ガソリンがもうすぐ切れる事に気付きました。今頃気付くか?!と言うほど限りなく0に近いメーターに、夫婦共々小心者の私達は、いつ車が止まるかとちょっとドキドキしながら、やっと見付けたガソリンスタンドに入ったのです。が
 土日はスタンドの人もお休みなのか、お客が自分で給油する形を取っているスタンドがほとんどのこの国。そんな無人のスタンドに入るとこんな貼り紙が。“ESAURITO(売切れ)”“ガソリン、ブルーディーゼルは売り切れ、無鉛スーパーガソリンのみ販売中”…ガソリンスタンドで土日、ガソリンが売り切れって!アリなんでしょうか?!

 

参考ページ

http://www.arttowermito.or.jp/art/terragnij.html(水戸美術館テラーニ展覧会ページ)http://www.vis.it/giubileo/como_cattedrale.htm(コモ大聖堂)

5/01/2008

2008.5 魅惑のパッケージ

魅惑のパッケージ

産休と決め込んで行動範囲が狭まりつつある今日この頃。いけませんね。(と思っているのは私だけ?逆にアナタいつも危なっかしいんだからじっとしてなさい!と言われる方が多いといえば多い)せめて自分が住んでいる街、引っ越したばかりでまだ良く知らぬ土地を知っておこうと、晴れた日にはひょこひょこ歩き回っております。散歩ついでに今まで入ったことのないスーパーなどにも入ってみます。そして普段は目的の商品に直行するところ、じろじろとゆっくり陳列棚をながめてみると、なかなか面白い発見があるものです。

 かわいい~!そしてよく落ちる。 

可愛くてよく落ちるものってなーんだ?!それはNELSENの食器洗剤、Nelsen-ino(ちっちゃなネルセンとでも言いましょうか。私の苗字はiinoなので、これまた親しみを感じてしまいます)。企業ホームページを見てみると、可愛いし親しみがもてるデザインの上に詰め替えもできる、見たくなるし見せたくなる、シンクに隠しておく必要なし!という売り文句が。良いとこだらけですね。(ヘンケル社→http://www.henkel.com/cps/rde/xchg/henkel_iti/hs.xsl/94_ITI_HTML.htm
 パッケージにつられて購入しましたが、洗剤自体もドロットしていてお皿から油を落とすまでは離れないぞ!という意気込みが感じられ、なかなかのもの。企業戦略に素直にはまり、我が家では詰め替えもNELSENを使ってます。

 これはいわゆるパクリなのでしょうか? 

こんなチーズを見つけました。しかしロゴがイギリスの格安航空会社イージージェットeasyJetサイト→ http://www.easyjet.com/)にそっくり。若者をターゲットにしたチーズ(?!)ということで、裏面にはインターネットでチェージーサイトにアクセスしなさいとばかりに大きくURLが入っています。(チェージー→http://www.cheasy.it/)これは見ればイージージェットとのつながりがわかるか?と思い、アクセスするとどうなるかというと、ビデオ投稿とチャットの正に若者向きのお楽しみサイトに。ちなみに製造元はしっかりした乳製品の会社TRE VALLI(トレヴァッリ→http://www.lattetrevalli.it/it/product.asp?ID=50385)なので、味もクリームチーズのようでまろやか。パンやクラッカーにつけるとなかなかいけますよ。結局イージージェットはまったく関係ないみたいですが

 シンプル北欧お菓子。そしてこってり系パッケージのチーズ。

日本でもスウェーデン家具のIKEAは大変人気と聞きました。それはそうでしょう!シンプルでおしゃれでお安いと、三拍子そろってますから。勿論イタリアでも庶民の味方IKEA、オリジナルのお菓子にも見た目シンプル&味スタンダード=北欧デザインの香りが。日本のIKEAでもこれは購入できるのでしょうか?
 右の写真はスライスチーズ。すごい。よくやった!ここまでベタなイラスト(チロル風の帽子をかぶった女性)をガーンとこってり使われると、買わずにはいられません。お味は決して濃厚ではないシンプルなスライスチーズです。

 清潔感が大切な商品は、やはり爽やか系。

ジョンソンのベビーオイルは日本でも愛用しておりました。清々しい透明のパッケージにやわらかなフォルムは好感が持てますね。隣にあるのはペナテンという同じくジョンソンの更にデリケートな敏感肌ベビーのための商品。容器のデザインは同じなのですが、色とステッカーが変わるだけで、医薬品的な雰囲気にがらっと変わりますね。右の写真は重曹(bicarbonato)です。重曹ごときといえども、イタリアの家庭では大活躍。石灰分の多い水は洗濯物を黒っぽくしますし、水周りに白い塊や水滴の後を残します。それをササット取り除けるのがこの重曹。食べ過ぎのときには水に溶かして飲用、お風呂に入れれば水がやわらかくなってお肌すべすべと、大変優れもの。大量に使うものだけに、量販店などではむき出しの、コストを抑えたデザインなどお構いなしなパッケージに入っています。そんな訳であまりかっこいい箱に詰められたものは、今まで見たことがありませんでした。しかしこの商品は、(CONADというスーパーのブランド。)しっかり重曹を意識してまさに重曹のためのパッケージを心がけていますね。使い道をしっかり説明しながらもシンプル、清潔感あるデザインに仕上がっています。忘れかけていたデザインの基本を見たような気がして、好感が持てます。
 これから夏にかけてのよい季節。小銭を握って近所へのお散歩&ふらふら寄り道も、意外なアイデアに出会えたりしてなかなか良いものですよ。

4/01/2008

2008.4 イタリアのカレンダー

来年の事を言っても、鬼は笑わないでしょう。~ イタリアのカレンダー

ミラノサローネも521日で終了。国際見本市会場には27万人の入場者があったそうで、毎年異常(?!)なまでに規模が膨れ上がっている事を感じさせますね。今年は更に日本をはじめ東洋のデザイナーの注目度が高く、それと共にアジア企業の力の入れようもまたかなりのものだったかと。日本のデザインが、日本経済を潤し回復させるほどに外貨を持ってきてくれると良いですね。さて、そんな盛り上がっている街に繰り出したい気持ちを抑えてこの一週間を過ごしたMIRROメンバー。私事ですが、只今お腹ポッコリ出産1ヶ月前を迎えております。人込みはさすがに、それもタダナラヌ目的意識あふれる人々の中に飛び込んで、お腹をギュウギュウ押されたら堪ったものではございません!細菌感染もっての外、冷えも立ちっぱなしもダメですよと言われ続けて9ヶ月。やっとお医者様の言う事を聞いてミラノ中心には最終日にちょっと行ったきりです。チョットだけですよ。

 カレンダーはやっぱり秋からクリスマスにかけて配りたい。

ちょっと出かけたミラノでは、以前からお世話になっている修道院のシスターにお会いしてきました。まだ確定ではございませんが、修道会の来年のカレンダーのデザインをお引き受けしようかという事で、いくつか見本を作成しご提案。ご意見をまたこれから聞いて、テーマとデザインを決定、写真を集めていただき、テキストを作成してもらってから数点違うバージョンを作り上げていくのですが、バカンスシーズンの7、8月はないものと考え、他の仕事具合を見ながらも今から動くのが得策でしょう。2008年版のカレンダーは、昨年の12月に入ってやっと届いたそうで、発送作業も遅れ、手渡しのチャンスも限られ大変だったご様子。そんな事情を踏まえ、印刷会社もいくつかあたってアイミツ取るべきと考え中です。
 ところで今までこちらでお願いした(まだ数年の大変短い経験の中ではありますが)中小の印刷屋さん、どこも今ひとつ日本に比べると納期も長め、価格もお高い気がします。シルクや版画の職人魂を込めた印刷の場合は例外として、部数もそこそこで、地元で何とか片付けたい場合、街の小さなと言っても十分設備の整った印刷屋さんを気軽に使いたいもの。しかし、クオリティーまたは価格面でやっぱり今ひとつ。日本でお世話になっていた大中小の印刷会社さんと比べると、うーん、感動、感心した思いはあまりございません。ある印刷屋さんでは“ミラノ市内でオフセット印刷機の有害性を言われてね。今うちはこれよっ!と、おそらく私が日本人だからなのでしょうが、理想のオフィス用リソグラフの印刷機(日本では、すばやい社内印刷に良く使わせていただいてました。大変優れものです。しかし、使用目的が違う!)を秘密兵器ぞ!とばかりに見せられて、動揺したことがあります。デジタルだしクオリティーも良くなったとはいえ、細かな写真製版などが入った場合、この印刷屋さんは何と説明してお客を納得させるのでしょう。せめて価格設定は抑えてあるのだろうなと思いながら苦笑い。これは特例だったと思い直して、また開拓していかなければいけないですね。もしくは探りで丁稚奉公に赴いてみるとか。イタリアの印刷屋さん、深く知りたい所です。ミラノ近郊・レッコ、コモまで範囲を広げて安くて良い印刷屋さんご存知の方、情報お待ちしております。

ちょっと校正にも時間がかかっちゃいそうな。


イタリアでも日本と同様、年末には企業や商社、スーパーやそのほか小売店などでも得意先やお客さんにカレンダーを配るところがあります。極端な例を挙げれば大手タイヤメーカーのPIRELLIのカレンダーは、その写真家やコンセプトが毎年ニュースに取り上げられる程、注目度の高い企業アイテム。勿論一般人の私が手にする事なんて夢のまた夢。
 PIRELLIはともかく今まで頂いたカレンダー、どうもデザインがいまひとつ。写真やイラストがまま良ければ使いにくく、使いやすければ写真がイマイチ。せっかくもらっても壁にかける気がせず、やっぱり書店で新たに買い求めてしまう結果に。探せばきっと“これは!”という企業カレンダーに出会えるかとも思うのですが、デザイン業界以外の一般向けで、シンプルで使いやすく、クライアントが持ってきた低画質の写真を限界まで美しく見せている、そんな素晴らしい無料配布カレンダーとの出会いが、この年末あるとうれしいな。そしてそんなカレンダーを私達も提供できると良いんだけどね!と思いつつ。


 カレンダー作成において、日本ではなかったちょっと面倒なことがひとつ。それは、毎日その日の聖人の名前が必ず入っていること。日本だったら六曜(大安、仏滅等)が書き込まれているのと似ているといえば解かりやすいでしょうか。ただ六曜に比べて聖人名は長い。そして聖人は365人以上存在するので、その日付ごとに1人の聖人とは限らない。よって基準にする聖人カレンダーを決めて聖人名を落としていかなければなりません。名前も様々、さらにカトリックの大切な祝日はその祝日名を優先、復活祭は毎年変わる等々色々あるようで。イタリアや他カトリックを国教とする国では、その日の聖人名を持つ友人知人に、おめでとう!を言う習慣もあるので、面倒だからって取ってしまうわけにはいきません。一日一日が、その日の聖人にまつわる大切な祝日なのです。しかし校正にはいつもの三倍ぐらい、時間がかかってしまいそう

 

参考サイト:
2008
年版ピレリカレンダーhttp://www.pirelli.co.jp/web/company/media/communication/cal-08/default.page

写真1:ミラノサローネを回るなら、定番雑誌も買って目途をつけないと。今年のINTERNIの表紙は吉岡徳仁氏。JAPANデザイン満載!

写真2:イタリアの企業カレンダー、デザインも機能もイマイチな気が

写真3:カレンダーには必ずと言って良いほどその日の聖人名が!12月の例。

 

3/01/2008

2008.3 魅惑の蕾、カルチョーフォ

野菜のフォルムからデザインのアイデアを。魅惑の蕾、カルチョーフォ

いよいよ春も本番。イタリアでも街路に桜や梅(といっても日本の梅は、手に入らない様で杏やプルーンの樹である確立が高い)、そしてミモザが咲き誇り、メルカートの雰囲気も街の色も明るくなってまいりました。ミラノサローネへご出発の皆さんは、準備OKですか?今年は航空券も高く、それなのにホテルの予約も更に困難だという話を聞きました。見本市会場の外、あんなに空いたスペースがあるのだから、キャンピングカーをみっちり停めて簡易キャンプ場にすればどんなに儲かる…いや、若いデザイナーさん達が助かるかなんて考えるのは私だけでしょうか?

 春野菜に心ときめく

ここまで書きながら、手をしばし止め、近所の八百屋に行ってまいりました。今本棚が足りず、しかし買うと高いだけで部屋にあわないので、MIRRO2号の提案で果物の木箱を八百屋兼果物屋に行ってもらって来るという計画を実行しております。親切な八百屋さんは“3月に入ればアルゼンチン梨が入ってくるけど、その箱ならすごく丈夫で本棚にぴったりよ!”と助言をしてくれ、更に木箱を取っておいてくれました。見たらホントに素晴らしい箱ではないですか!MIRRO2号による本棚ができましたらまたご報告いたしましょう。
 さて、京都に京野菜があるように、見知らぬ土地に行くと知らない野菜や果物と出会う事が大いにありますね。冬から今の時期にかけて、こちらで良く見られる野菜のひとつにカルチョーフォがあります。朝鮮アザミの食用改良種だそうで、花の巨大な蕾と、その下の茎の部分を食べます。日本にはアメリカから入って来たのかな?アーティーチョークの名前で知られているけれど、お値段も高いのであまり馴染みのない野菜です。しかしこれが、私にとっては病みつきになる美味しさ。今日もまた、ついつい買って来てしまいました。

 味もフォルムも芸術的

 カルチョーフォの形、近いものを表現しなさいと言われれば、蓮の花の蕾でしょうか。ランプのデザインを探しているとき、美しい蓮型ランプを見た記憶がありますが、調べると、どうやらMATERIALISE.MGXのデザイナー作品だったようです。しかし、どちらかと言うとLilyというランプの方がカルチョーフォに似ているような。去年のサローネサテライトでも、花や自然をテーマにした作品が多数ありました。しかし“カルチョーフォは食べる物”という執拗な目的から、私にとっては花ではなくあくまでも“野菜”美しく美味しい野菜なのです。

そんな美しい野菜からアイデアを得、デザインを起こした有名デザイナーが存在します。大御所ポール・ヘニングセン(デンマーク18941967)。ルイスポールセン社と共同で数多くの照明デザインを手がけています。カルチョーフォ型のランプは“PH Artichok”(同社の素晴らしいホームページがあるのでぜひ拡大したり、縮小したりして見てください。下記にリンクをしています)、実際に何枚花びらがあるのか数えたとは書いていませんが、じっくり観察し研究し生まれた作品であることは、作品自体が物語っています。他にも記憶力を全開にしてみると、デザインの中にも名画の中にもカルチョーフォきりがありませんカルチョーフォで本が一冊書けるかも?重いながら食欲も湧いてきます。

二種類の蕾、味も形も違います。

さて、本物のお野菜のカルチョーフォですが、ロマーノ又はマンモレ(辞書で引くとスミレの意味なのですが、八百屋ではこう呼んでいる)と呼ばれる丸っこい花びらのものと、スピノーゾと呼ばれるトゲの付いているものの二種類が見られます。実際は更に細かく種類が分かれるようですが、この2つを押さえていればまずはカルチョーフォ中級者。形から見ると、ヘニングセンのランプはカルチョーフォロマーノのイメージなのでしょう。

(写真はカルチョーフォ・スピノーゾ。ジャガイモと一緒に煮たり、パン粉とオーブンで焼いたり、色々おいしくいただけるのです。

スピノーゾは特に棘が痛いので、調理の下ごしらえでは、やわらかい花びらが出るまで用心深く外の花びらをはがした上、頭の部分をちょん切って、更に半分に割り、中の綿のようなシベを取り除きます。灰汁もすごいので手が汚れますし、しばらく小麦粉を溶かした水につけねばなりません。生でも食べられますが、くたくたになるまでジャガイモや鶏肉と煮る、オーブンで焼くとホクホクした歯ごたえがたまりません。リゾットもスープもこれまた美味!家で調理する場合は、この喜びの瞬間にたどり着くまでが、なかなか大変なのですが

この春ミラノ(と言わずイタリアならどこでも。イタリア以外でも機会があったらぜひ!)に来て、メニューに困ったら、「クアルシアシ、ピアット、ディ、カルチョーフォ~!(何かしらカルチョーフォの料理を~!)」と言ってみてください。売り切れていない限りは、何かしらおいしい一皿が出てくるかと。 

〔参照ホームページ〕

Louis Poulsen

http://www.louispoulsen.com/in/Designers/Poul%20Henningsen.aspx

PH Artichokのページ

http://www.louispoulsen.com/in/Product/Pendants/PH%20Artichoke.aspx?description=
MATERIALISE.MGX
LOTUSLILY

http://www.materialise.com/materialise/view/en/114997-Lotus.MGX.html

http://www.materialise.com/materialise/view/en/557533-Lily.MGX.html

 

2/01/2008

2008.02 ミラノは汚染されている?!


 最近引越しをいたしました。ミラノからはちょっと離れましたが、国鉄で一時間圏内(電車が遅れなければの話ですが)。引越しを思い立ったのは、今年がアパートの契約更新の年であったこと、ミラノは家賃が高すぎること、スモッグがひどいこと等、数え上げると限りなくなってくるのですが、ともあれ何とか落ち着いたところです。そう、ミラノの公害は毎度大変な問題になっています。空気汚染が主たる問題なのですが、その汚染の根源は聞くところによると暖房設備などによるもの。自動車の排気ガスも勿論ですが、一番は古い建物が個々の家庭でコントロールできない古いタイプの暖房設備を未だに維持していることではないか?という人が結構います。しかし、それはさておき自動車の排ガスが一番の問題!として(それも勿論一理あるのですが)今年から“エコパス”というものが導入されました。自動車の新車(過去2年内)はエコパスゾーン(ミラノ中心部)への侵入無料、それより古い車はお金を払ってパスを買わなければエコパスゾーンに入れません。規定より古い車はお金を払っても入れません。入ったら罰金!だそうです。多くの人がこのシステムに関して不服を持っているようで、色々な噂を耳にします。エコパスゾーンはかなり小さな範囲。それに規定の時間外なら侵入できる。どう考えても公害を抑えるという目的に適う対策とは思えない!お役所の懐を潤すためのものだ!と言う人、新車を買えない年金生活者で、エコパスゾーンに住んでる人はどうするの!!と言う人などなど様々な論議をかもし出しています。

 時間をかけて修復中のミラノの隠れた宝。

確かにこのエコパス、エコという名前が付く限りはその目的をちゃんと果たすようになってほしいものです。ミラノから少し離れると、確かに空の色が違うような感じがします。建物の壁が同じ材質でも、ミラノのそれほど灰色がかっていないような感じを受けます。過去ミラノ名物であった霧は、一歩前が見えなくなるほどのレベルでめったにこの都市を覆いつくすことはありません。やっぱりミラノの汚染はどうにかしていただきたい問題なのであります!特に歴史的な建造物の保護に、大気汚染って相当なダメージを与えてるのは明らかですよね。何年にも渡って修復が行われているミラノ大聖堂も、磨いた所は美しい大理石の色がまぶしいのですが、古い部分はホントに灰色。修復をはじめたスタートの部分は(それがどこかは知らないのですが!)きっと今、すでに少しずつ黒ずんできているのではないでしょうか?そうだとしたら、この修復って永遠に終わらない大事業になっちゃいますよね~なんて考えたりもして。

そんなグレーな街、ミラノ。イタリア人でもミラノに観光で行くのはナンセンスだ、なぜなら“ミラノは“大聖堂”を見ればあとは買い物だけだものね~”なんて言ってる人がいます。でもまってちょーだい。結構見所はあるのですよ。その一例を今日はちょっとだけご紹介します。微妙に有名なので既にご存知の方もいらっしゃるかと!

サン・マウリツィオ教会 ~Chiesa di San Maurizio al Monastero Maggiore

この1500年代に建築された素晴らしい教会は、とってもアクセスの良いMagenta通りに位置します。ミラノサーローネに行ったことのある方には、きっと馴染み深い乗り継ぎ駅のカドルナから徒歩数分。外装は大変地味ですが、お隣に考古学博物館(以前は修道院の建物だった)があるので発見しやすいかと。なんと言ってもこの教会にはルネッサンスの巨匠、ミラノ、ロンバルディア州ゆかりの画家ベルナルディーノ・ルイーニBernardino Luini1480-1532)の作品があるのです。教会内にはルイーニ他多くの画家によるフレスコ、油画等が盛りだくさん!ごそっと壁面を覆いつくしています!話はそれますが、私がイタリアに来てはじめてきちんとルイーニの作品を見たのは、何故かイタリアではなくミラノから電車で二時間ほどのスイスの湖畔の町ルガーノのSanta Maria degli Angeli教会でした。“十字架の道行”を描いた大作、絵が教会の中にあるのか教会が絵を覆っているのか解からなくなるほど、その存在感は凄まじく、随分長い間ボーっと眺めてしまった事を覚えています。
 サン・マウリツィオ教会、いまだ修復中なので、一歩教会に足を踏み入れるとすぐに修復のための足場が絵の前に立ちはだかっております。しかし諦めないで、しぶとくその隙間をぬってほぼ全部の絵を見ることは可能です。それら足場に遮られ、さらに奥にまだ見所(l'Aula delle Monache)がある事を忘れてはいけません。奥に入ってすぐ目に入る部分、いわゆる正面には星空の中心に神が描かれ、周囲に四福音史家(福音書記者)と天使のイメージがあり、突然パッと目前に銀河が広がるような気分になります。

さらにその外側には受胎告知のイメージが描かれているのですが、天使ミカエルが左端、聖母マリアが右端のぎりぎりの所に配置されているので、お互いの距離が大変遠い!(うんと離れて今一度全体を見る事をお勧めします。)遠くはなれているけれど、天使側からマリアに向かう小さな天使がいたり、両者の微妙な動きがお互い呼応するように工夫されていたりと、つながりがよくわかる様に描かれていて大変面白い作品です...と、前方だけではなく後方にも見逃せない“最後の晩餐”や“ノアの箱舟”を描いた部分がありますので、閉館時間ぎりぎりではなく、じっくりゆっくり鑑賞できるように余裕を持って訪れる事をお勧めいたします。時折無料コンサートなども行われるそうなので、運良くあたったらこれまたしめたものですね。

ミラノの教会はミラノ大聖堂とサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会を見れば十分!と思っている方、この他にもまだまだ隠れた見所がありますよ!ぜひ一度、素通りせず、ミラノにもじっくり腰を落ち着けて滞在してみてくださいな。

【サン・マウリツィオ教会 Chiesa di San Maurizio
マジェンタ大通りCorso Magenta 15
地下鉄カドルナCadorna駅下車
開館日時:火-9:00-12:0014:00-17:30 月曜日:休館
200712月の時点では上記の開館時間でした。祝日やコンサートなどの時、もしくは修復具合や夏冬と、時間が変更する可能性があるのでインフォメーション等でご確認くださいね。
Wikipedia
サン・マウリツィオ教会の記事があります。http://it.wikipedia.org/wiki/Chiesa_di_San_Maurizio_al_Monastero_Maggiore

【お知らせ】

翻訳をお手伝いした本が出版されました。公害について今回触れたので、ちょっと関わる部分があるかも?(無理やりですね。)都市計画に興味のある方にはお勧めです。

「都市を癒す術」ピエル・ルイジ・チェルヴェッラーティ ()


http://www.jbook.co.jp/p/p.aspx/3498177/s/




写真1:左:教会内、現在修復中。中:教会奥へ行くにはこのアーチをくぐります。右:神、福音書記者、天使の壁画。
写真2:ノアの箱舟。とても具体的に描かれています。
写真3:最後の晩餐です。(レオナルドではないですよ!)