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8/01/2007

2007.08 イギリスの強さを借りて、寄り道を。

イギリスの強さを借りて、寄り道を。

前回7月の記事でも“行き当たりばったり旅行”の事を書きました。行き当たりばったり精神に、少し計画性が加わると、さらに旅は楽しくなります。ちょっと前までは高かった航空券も今は、どこでもそれほどでもないですね。そしてヨーロッパ在住の強みは、近隣の国に国内旅行と同じ(もしくはそれ以下!)予算で行けてしまうこと。ヤッホー!

 英国の激安航空会社

格安航空会社の代表的存在“ライアンエアー”。20100ユーロが定番ですが、時折2ユーロ、5ユーロなんていう恐ろしい価格の航空券も見られる価格破壊の先頭を切って走っているイギリスの航空会社です。勿論空港税や荷物の数、保険の有無などによって最終的な価格は変わってくるのですが、それでもやっぱり安い!今回夏休みを利用して、“憧れの英国旅行を激安で”をモットーに、色々な角度で格安航空券を検討してしました。まずは格安航空券の総合サイトで日程と値段の関係を検討。税金を込めた最終的な価格がどのサイトで購入すれば一番安くなるのかを割り出し、ryanair.comで直接購入するのが一番お安いと確信。そしてライアンエアーサイトで航空券を探してみると、ミラノ-ロンドン間のチケットと、ミラノ-ベルギー(BRUSSELS)-ロンドンと2つ飛んでみた場合の価格がほぼ同じ、そしてその方が激早朝の6時の便や夜中の0時に着く便に乗らなくとも(これも激安チケットの理由のひとつ!)その日の中の良い価格帯のチケットを入手できる事がわかりました。ベルギー・BRUSSELS…街の面積に対して美術館の密度が大変高い街。これは寄り道しないわけにはいかないでしょう!

 なるべく安くも見極めが大事です。

結局のところまたもや“行き当たりばったり”と憧れで決めた旅先。しかし、今回はここで妥協すると激安旅行の目的が失われてしまうので、Booking.comというホテル予約サイトでお安いホテル(朝食抜きで275ユーロ。ロンドン行きの便は845分発なので、朝食はどちらにしてもホテルではとれないでしょう)をあらかじめ予約。トータルで考えても直行ロンドンとトントンのお値段で収まりました。インターネットって本当に素晴らしいですね。
 さてさて、BRUSSELSに到着。さすがに旅立つまで仕事(バイトです)に追われ、当日の予定は白紙のまま。目ざとくインフォメーションで観光地図とガイドをもらい、空港からBRUSSELSMidi駅までのバスの中で計画をたてます。100の美術館ガイドというページがあり、さらに美術館入館券(市内のほぼ全美術館にて有効)と市内の交通機関の切符がセットになったパスを発見。1日有効券は20ユーロで、これはお得!と思いましたが、街に到着するのはお昼ごろ。美術館の閉館は5時~6時というところがほとんど。入場券も5ユーロ程度のところがほとんどなので、これはお得か微妙なところです。きっと最高2館で終了してしまうだろうと考え、入館料は個別に支払いバス、地下鉄、トラムの一日有効券(4ユーロ)を購入することに決めました。

  やっぱり本物は味が違う!

 日本でも2006から2007年春にかけて、大規模な400年記念展が行われた“ベルギー王立美術館”。ルーベンスやヴァン・ダイクなどの古典絵画と、ポール・デルヴォー、マグリットを初めとする近代絵画の巨大なコレクションを有する美術館です。有数の名画をそれだけ数多くもてるということは、しっかり保管できる場所を有しているということを意味しますね。さて、行ってみるとホントにデカイ!!入口からして広く、はじめのフロアーからダビッドの巨大作品を拝むことができます。直進すると古典絵画コーナー、右に折れてエスカレーターに乗ると近代絵画の展示コーナーになっています。

 ショートケーキ(が好きな場合ですが)を食べるとき、イチゴを最後に残すか全部を満遍なく食べるか、イタリアではこんな表現があります“Mettere la ciliegina sulla torta”ケーキの上にさくらんぼをのせる。ケーキの上に小さな赤いさくらんぼをのせることで、最後の大事な仕事を終える。最後の一番大事な場面を表現する言い方ですが、感動的な瞬間を最後に残す、という場合に使っても良いようです。イチゴの場合はケチというか“もったいない精神”が表れている感じがしますが、こちらのさくらんぼ表現の場合、感動を待ちわびるドラムロールが、その瞬間が近づくにつれ聞こえてくるようなワクワク感があるような気がします。

 で何を言いたかったか、と申しますと、ほとんど全ての作品がメイン作品といえるこの美術館において、さくらんぼを決めるのは至難のわざ。しかしここは、やっぱり何といってもブリューゲル!(ピーター・ブリューゲル父。ちなみに同名の息子の作品も、父の作品と同時に見ることができます。)若くしてこの世を去った天才画家として、日本でも知らない方を探すほうが難しいほど知られ、その作品は世界中に散らばっていますね。しかしここブリュッセルに住み、最後のときを過ごしたというだけあって、ここのコレクションは見逃せません。
 まずは近代絵画ゾーンを駆け足でまわります。しかし、駆け足なんてそんなにうまくいくわけもなく、大好きなアンソールの作品の前で驚愕の声を挙げ、やっぱりマグリットの前でたたずみ、ダビッドの『マラーの死』ってここにあったのか!!と動揺していたらあっという間に時間は過ぎ、やっと古典絵画ゾーンに戻った頃には2時間半が経過。ここはとにかくブリューゲルゾーンに直接突入。無関心な人々の描写の片隅に、ひそかに墜落している『イカロスの墜落』恐ろしい化け物集合の『反逆天使の失墜』息子の模写と比較して楽しめる『ベツレヘムの戸籍調査』『謝肉祭と四旬節の喧嘩』ちょっと離れた場所に『聖マーチン』etc…やっぱり本物は凄い。後ろ髪引かれながら移動しようと思いきや、すでに時計の針は430分。それでもがんばって5時半まで開館しているアール・ヌーヴォーの巨匠ヴィクトル・オルタの家に行ったところでタイムリミット。その後遅くまでねばって、美術館近くに散らばるオルタの建築作品を探し歩いたのは、いうまでもありません。いや、歩きすぎて足が筋肉痛になってしまいました

写真1:これが噂のライアンエアーです。

写真2:ブリュッセルの中心街。

写真3:ブリューゲルの絵を、鑑賞する人と模写する学生さん。観ることに対しての目的が違う人々。(ベルギー王立美術館)

写真4:ブリューゲル。現代絵画をも圧倒する迫力があります。