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9/23/2009

2009.09 ミラノで無料の美術館!

大変ご無沙汰をしております。STUDIOMIRROです。エイクエント、エージェントの宮崎さんにお約束してからすでに一ヶ月、いえ、二ヶ月近く時間が経ってしまいました。まとめてみると随分長く書かせていただいたんだなぁ〜と感慨深い“エイクエントクリエイターズブログ”。今後も月一回は(他お知らせなどもトントンとアップできれば。)必ずや、北イタリア周辺の情報、美術館、展覧会、デザイン、仕事、その他お得な情報もかきあつめて書いて行きたいと思います。

さて、復活第一弾はまたもや美術館情報。
近現代アート、デザインは興味ないし、ミラノはブレラとスフォルチェスコ城を見れば十分!なんて思っている方、勿体ない!ここは一押しです!

市に寄付された邸宅!隠された逸品達。

その美術館は、かつて貴族の邸宅であったVILLA REALE (Villa Belgiojoso)の内部を公開したもので、Galleria d'arte modernaと言います。地下鉄Palestro駅から歩いて一分(ポルタ・ヴェネチアからイドロ・モンタネッリ公園を突っ切って行っても10分以内。いいお散歩コースです。)という位置にありながら、いつもそれほど来館者のいない、超穴場。私に言わせれば超勿体ない!なんでもっと観光用に宣伝しないのか不思議な美術館。長らく整備をしていて一昨年(でしたでしょうか?)に公開を始めたのですが、その時に新聞記事で告知がされたっきり(多分)。隣には、同じ邸宅を利用し、79年に修復を終え開館したPACという現代美術館があるので、中庭等を使って企画展を行ったりもしている様ですがしかし…開館当初は人で溢れていたのですが、今は、特に平日昼間はガラッガラに空いています。

なんでそんなに勿体ないっと言うか…。それはその収蔵品の幅広さと貴重さにあります。

まず入口を入ってすぐに目に飛び込むのはアンドレア・アッピアーニ(Andrea Appiani)の彫刻と緻密なデッサン。
「おっ、カノーヴァもあるよ!」っという相方の声に振り向くと、アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova)も数点。学生時代に写真でその作品を見て、あんまりきれいなので、海から出て来た古代彫刻だと勝手に想像していた私。こんな風にイタリアではあちこちに点在しているのですね。

2階3階にこれまたびっくり。

ちょっと見るつもりで入っても、半日はたちどころに過ぎてしまう広さの豪邸。
駆け足で見たい心をそそるような画家名、作品名を書いてみます。

Giuseppe Pellizza da Volpedo - Il quarto Stato
ジョゼッペ・ペリッツァ・ダ・ ヴォルペード(1868-1907)が描いた、「Il Quarto Stato(第4階層)」

↑Giuseppe Pellizza da Volpedアソシエーションのホームページに画像があります。上の画像はwikipediaから。
てっきりブレラ美術館に展示されているものとなぜか思い込んでおりましたが
実はここにあるのです。ブレラにあるのははエスキースだそうで。これは2階のXXX部屋にあります。

1階は'700、2階は'800の作品を中心に展示してあるとの事、イタリアで1800年代と言えば
Giovanni Segantini(ジョヴァンニ・セガンティーニ、1858-1899)。ここにはセガンティーニがたくさんあるのです!
↑大学時代に使った西洋美術史の教科書に載っていた作品は、これだったと思う。ここで出会うとは…。
XXVIII部屋はセガンティーニの部屋。驚きです。
XIIにはFrancesco Hayez(フランチェスコ・ハイエツ)のこれまた本やネットで見かけた事のある作品が。思わずハイエツ作のマンゾーニの肖像の前で写真を一枚。写真撮影もフラッシュなしならOKだそうです。これまた嬉しいですね。

XXVIIにはMedardo Rosso(メダルド・ロッソ)の特徴的なロウで作った彫刻が!
XVIIは大きなシャンデリアとアッピアーニの天井画がある部屋。多くの作品を詰め込んだ後に、こんな空間が現れると息抜きにもなります。
椅子が鏡のキューブになっているのは天井画をよく見せるためでしょうか?キラキラ光るものに囲まれ、うちの長男も大喜びでした。

3階には1956年にミラノ市に寄贈されたというGrassi(カルロ・グラッシ)コレクションが展示されています。
特筆すべきはイタリア未来派絵画。Giacomo Balla(ジャコモ・バッラ、1871-1958)、Umberto Boccioni(ウンベルト・ボッチョーニ、1882-1916)などの作品が見られます。更に日本人も大好きなヴァン・ゴッホやポール・ゴーギャン、19〜20世紀の奇異な画家アンソールまで何気なくあるのでビックリ。中国のアンティークからフランス印象派、タブローから版画まで幅広いコレクションを堪能できます。
子連れだったので、2階でも3階でも、監視員の方に“庭が公園になっているから、帰りに寄ってみれば?彼(長男を指して)にはきっとそっちの方が楽しいかもね!”と声をかけられました。確かに窓から外を見ると美しい緑が目下に広がっています。立ち寄ってみるとミラノで今まで訪れたどの公園よりもきれいな、手入れされた芝が広がり(犬の散歩は禁止)、いい具合にベンチが配置され、近くにお勤めの方のお弁当スポット、子連れ家族のピクニックスポットになっているようでした。小さな滑り台やブランコ、そして池にはガチョウや白鳥などの水鳥や巨大な鯉もいます。鳥にエサを投げる事を最近覚えた長男は、大喜びでちぎったパンを次々と投げ…てもほとんどが足下に落ちるので多くは池まで届かず、喜ぶ鳥は鳩のみでしたが…。

こんなに沢山絵画鑑賞ができた上にくつろぎスポットまであるVILLA REALE。何より無料!こりゃ行かなきゃ損ですね。
ちなみに同じ建物内に、馬をモチーフとした彫刻で日本でもよく知られているMarino Marini (マリノ・マリーニ)の美術館が併設されています。今回は見る事が出来ませんでしたが、次回はぜひ、お弁当を持ってまた訪れてみたいと思います。

ミラノ市主催の美術館ホームページ