visitors

11/01/2007

2007.11 忘れがたき…!?



日本人の故郷へのノスタルジア

しばらく日本に帰っておりません。今は円安なのでチャンスと言えばチャンスなのですが、仕事や引っ越し、日常の細かな雑事に追われて計画がたてられないうちに2007年が終わろうとしております。トホホです。離れていれば尚なつかしき我が故郷。私の姉は私と違って博学な(勉強家という意味を込めて)国語教師なのですが、10月の詩の授業で室生犀星の“ふるさとは遠きにありて思ふもの”を取り上げたと言っていました。家を出たからといっても今の時代、“故郷に錦をかざる”か“夢破れ落ちぶれて帰るのか”といった厳しい状況はいまや聞かれませんし、ホームシックという言葉や症状はあるにせよ、ふるさとを思いひとり涙ぐむ...状況に追い込まれる事もあまりありません。(興味本位にWikipediaでノスタルジアという言葉を見てみましたが、19世紀末までには、精神医学のカテゴリとしての「ノスタルジア」への関心はほとんど消え失せてしまった。とあります。納得。)会いたい人にすぐに会えない寂しさ、食べたい物がすぐに手に入らない口寂しさというのは勿論ありますが!

イタリア人の日本へのノスタルジア

大層なタイトルをつい付けてしまいましたが、2006年夏に長崎から北海道まで『日本横断10日間鉄道の旅』を試みたMIRRO2(イタリア人)は、日本へは良き思い出の意味でのノスタルジアを感じる事がしばしあるようです。例を挙げると屋台でおじさんが太い腕でガシガシと野菜、麺を炒め直に鉄板焼きの上で出来上がるおいしいソース焼そば、お好み焼き、南と北とではスープの色も味も違うラーメン、そば、うどん。高速列車の中には今や必ずあると行って言いコンセントのプラグ、モスバーガー、狭い敷地にしっかり計画されてたてられた世界でも名の知られた日本の建築家による新しい建築物、動く巨大ガニ(by道頓堀)、ウォシュレット、駅ビル...と数知れず。これらがイタリアにもあったらいいなぁ〜という、楽観的な欲求とも言えるので、彼の場合はひらがなで表記し“のすたるじあ” もしくは“のすたるじぁ”とした方があったらなぁ〜という雰囲気が更に伝わってより良いかもしれません。

そんなMIRRO2の日本への“のすたるじぁ”No.1の座に輝くのは...

『自動販売機』だそうです。って...なんで?

がんばれミラノの自販機!

日本横断中、MIRRO2はあらゆる自販機を試しました。(ほぼ毎日、駅から自宅までの道のり、彼の道連れはその時自販機で買う事の出来る、あらゆる種類の缶コーヒーでした。)電車の切符に関しては、すべてどの種の鉄道にチャレンジするにあたっても自ら自販機の前に気合いを入れて立ち、路線図とボタンを解読して一枚の切符を購入することに情熱を燃やし(ラッシュ時には出来ない技ですが)、コインロッカー(イタリアと違ってほぼすべての駅にある事にまず感動。)のための小銭もしっかり用意。日本の自販機は100発100中!お札を入れてもおつりが間違えなく戻ってくる。更にJRではカードでピッ!とするだけで買える自販機がある( Suica対応自動販売機)。携帯で買える自販機がある。彼に言わせれば日本はまさに自販機ワールド!なのです。

勿論ミラノにも自販機はありますよ。特に2006年あたりから、市内交通機関の自動改札化(2007年現在ほぼ全駅)に伴いじわじわと切符の形式が代わり、新しい切符の自動販売機は新しいだけに故障の確率は少なく、更に定期の更新もできるという画期的な変貌を遂げております。(日本のそれと比べると台数も少なく、やたら一台が無駄にデカイ感じはしますが。)ただ、国鉄の自販機はまだよく故障しますし、たまにおつりが出なくて代わりに金額を明記したレシートが出て来て、窓口でおつりをもらわねばならない事態に陥る事も。駅や空港など警備体制が比較的整っている場所には、自販機があります。オフィスやお役所、病院などにもコーヒーやお菓子の自販機がちゃんとあります。しかし街中で自販機を見る事は残念ながらあまりありません。なぜってそれは、いわば小銭と商品が入ってる貯金箱を放置しているのと同じ事ですから!壊されるというリスクが儲ける事より先に立ち、日本のようにはいかないのです。逆に日本ではコンビニの前にも自販機があり、まるで待つ時間が数秒しかない人、言葉を交わして商品を買うのが面倒な方はこちらでどうぞ!といわんばかり。ちょっとやり過ぎ?という気もちょっぴりします。
先日、cadorna(カドルナ)という主要駅にて珍しい自動販売機を発見しました。フレッシュ乳製品の自販機です。日本には牛乳屋さんの脇に設置している所もありますよね。しかし...やや、ミラノでは初めてお目にかかりました。値段もスーパーとくらべてもそこそこ良心的。軒並みの食品の値上がりや、法改正など色々な要因があってこういった販売形式が脚光を浴びて来た?とも言えるのかもしれませんが、勉強不足ではっきりとした事は言えません。今度から乳製品の話題にもちゃんと目を通さなければいけませんね。朝食ヨーグルト派にはうれしい事にヨーグルトも買えます。何より生鮮食品なのでちゃんと品質管理をしているわけ(筈?)ですよね。前向きな姿勢を感じますね〜。

乳製品自販機をカメラに収めながら、夏にスイスの国境に近いボルミオという街に行った時、道中思わぬ所で牛乳の自販機を発見した事を思い出しました。こちらの場合は絞り立ての牛乳を、持って来たペットボトルに好きな量を選んでシュワッと入れてくれるというもので、友人と「実は機械の中に牛が入っているのだろう!」などと冗談を言って通り過ぎたものです。そう、イタリアでも治安の良い所には自販機が町中に存在するのです!自販機は安全のバロメータ!?いつかどこの都市でも自販機が見られる治安の世の中になるよう、心より願うMIRROメンバーなのでした。


写真1:cadorna駅構内。光り輝く自販機発見。

写真2:中には乳製品が。お金を入れて商品を選ぶと扉が開く方式。こちらの自販機の多くは、中身が見えるこれと同じ方式のものなのですが、安心感もあるし、パッケージデザインがよろしければそれだけでGood Design

写真3:ヨーグルト80cent.1リットル牛乳1ユーロ50、半リットル80cent.

写真4:どうやらミラノの主要地下鉄駅各所に置かれているようです。お試しあれ。