誰もが知ってるイタリアのデザイナーといえば
そして“見逃しそうな展覧会“は、ミラノ中央駅前のクッキリ目立つ高層ビル、日本でも有名なタイヤ会社のピレッリ社のオフィスとして60年代に建設された“ピレッリビル”を設計した建築家でありデザイナーといえば言わずと知れた、Gio' Ponti(ジョ・ポンティまたはジオ・ポンティ)の展覧会。domus(ドムス)という雑誌の創刊者といえば、
もっとわかりやすいかもしれません。今回の展示は“Gio Ponti Designer”というタイトル、概要には1920年代からのテキスタイル、陶器作品の展示など約70点の展示とある。という事は、デザイナーとしてのプロジェクトをメインに展示しているはずなので、これまた見逃せない。ちなみにジョ・ポンティの命日は、1979年の9月16日とのこと。展覧会の最終日を決めるにあたって、何かしらの配慮があったのだろうか?
話題性一番の展覧会
おなじく16日まで、同じ会場で行われている展覧会にコロンビアの画家ボテロ(Ferroni Botero)展がある。フィレンツェで学んだ事からか、イタリアでは取り扱い画廊も多く、人気の画家ボテロ。イタリアのみならず、ニューヨークMOMAをはじめパリやベネツィア等各国各地でその作品を目にすることができ、アジアでもまさに日本で開催された、2004年恵比寿ガーデンプレイスでの展示が皮切りとな
り、その名を知られるようになったとのこと。実は私もこちらに来るまでこの作家の名はしらなかった。しかしその独自のスタイル、インパクトある表現方法は、一度見たら忘れられない。彼の手にかかると、動物も、男も女も子供もそして花までも、ボッテリとふくよかな体系になってしまう。メルヘンか、はたまたルソーのような素朴派の影響を受けたのか?と一瞬思える画面なのだが、時事問題にも敏感でありつづけ、故郷コロンビア内戦の事実を訴える作品をシリーズとして制作するなど、強烈な政治的メッセージをも恐れず表現するもっとも画家らしい姿勢を崩さぬ画家なのである。甘い曲線の登場人物を現実の悲劇になぞらえるギャップが、何とも不気味なリアリティをかもし出し、何とも不思議で不気味でもある。会期中はボテロの彫刻がDUOMO周辺に設置され、大人気。私が彫刻の前を通ったときも、何組もの観光客が彫刻の前で記念撮影を行っていた。会期を過ぎても探せば必ずミラノに限らず、世界中どこかのギャラリーで、ボテロの作品を展示しているところが何件もある筈。興味のある方は、探してみてくださいね。日本にもおそらく数点は入ってきている事でしょう。
私自身は今一つ、このボテロのスタイルをじっくり見てみたいと思えないため、野外彫刻のみで満足している…としたいところ。しかし今回の展示では150点余りのボテロ作品が集結とあるので、好奇心はある。絵画の世界をもっと知るため…というよりは怖いもの見たさで、時間が許せば行ってみるべきか。
まだ余裕がある!しかし気は抜けない。
ここまで、今このブログを読んでくださっている皆さんには、過去の情報をお届けしているわけなのでお詫びしなければなりません。お詫びのかわりにまだまだ余裕のある展示をひとつご紹介。
もう見逃すまい!同じくパラッツォ・レアーレで行われている11月11日終了の展覧会。(いまこの記事を書きながら、展示会期をつかさず手帳に書き込んでいます。反省の現われともいえる行為!)その名も“Italian Art 1968-2007”。イタリアの現代作家200点以上の作品が一挙に見られる素晴らしい機会。主に平面作品が展示されるという所も、映像や立体に押されがちな現在のアートシーンから見ると、魅力的な要素です。イタリア近・現代作家にまだうとい私にとっては、まさに勉強するチャンス。バカンスでスタートダッシュが鈍った9月、後半挽回しなければいけませんね。
展示情報
イタリアンアート 1968-2007 (Arte Italiana 1968-2007. Pittura)
会期:2007年11月11日まで
場所:パラッツォ・レアーレ Palazzo Reale(Piazza Duomo 12)
写真1:ボテロの彫刻、巨大な猫。DUOMOを背景にしてもこの迫力。
写真2:ボテロ展とフェッローニ展ポスター。ジャンフランコ・フェッローニ(1927-2001)展も行きたいのですが…。
写真3:パラッツォ・レアーレ。過ぎゆく展示の情報が。“Italian Art 1968-2007”と共に知られざる画家“マリオ・カヴァリエーリ展”は11月11日まで!
写真4:展示会場付近にはよく行くものの、なかなか開館時間内に行けず。ミラノの秋の夕暮れ空です。