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9/01/2007

2007.09 しまった16日までだった!


夏休み、バカンスのシーズンを過ぎて秋空深まる9月。“何処に行ってきたの?” “バカンスはよかったなぁ~。”という会話がこの国の仕事始め。2週目からは学校も始まり、(日本と違ってこちらの新学期は9月からなのです。)路上駐車の車もみるみる増えてまいりました。そんなあわただしい雰囲気の中、目をつけていた展覧会が9月11日、そして16日で終了!という事にいま気付きました!しまった!!

 誰もが知ってるイタリアのデザイナーといえば

そして“見逃しそうな展覧会“は、ミラノ中央駅前のクッキリ目立つ高層ビル、日本でも有名なタイヤ会社のピレッリ社のオフィスとして60年代に建設された“ピレッリビル”を設計した建築家でありデザイナーといえば言わずと知れた、Gio' Ponti(ジョ・ポンティまたはジオ・ポンティ)の展覧会。domus(ドムス)という雑誌の創刊者といえば、

もっとわかりやすいかもしれません。今回の展示は“Gio Ponti Designer”というタイトル、概要には1920年代からのテキスタイル、陶器作品の展示など約70点の展示とある。という事は、デザイナーとしてのプロジェクトをメインに展示しているはずなので、これまた見逃せない。ちなみにジョ・ポンティの命日は、1979年の9月16日とのこと。展覧会の最終日を決めるにあたって、何かしらの配慮があったのだろうか?

 話題性一番の展覧会

おなじく16日まで、同じ会場で行われている展覧会にコロンビアの画家ボテロ(Ferroni Botero)展がある。フィレンツェで学んだ事からか、イタリアでは取り扱い画廊も多く、人気の画家ボテロ。イタリアのみならず、ニューヨークMOMAをはじめパリやベネツィア等各国各地でその作品を目にすることができ、アジアでもまさに日本で開催された、2004年恵比寿ガーデンプレイスでの展示が皮切りとな

り、その名を知られるようになったとのこと。実は私もこちらに来るまでこの作家の名はしらなかった。しかしその独自のスタイル、インパクトある表現方法は、一度見たら忘れられない。彼の手にかかると、動物も、男も女も子供もそして花までも、ボッテリとふくよかな体系になってしまう。メルヘンか、はたまたルソーのような素朴派の影響を受けたのか?と一瞬思える画面なのだが、時事問題にも敏感でありつづけ、故郷コロンビア内戦の事実を訴える作品をシリーズとして制作するなど、強烈な政治的メッセージをも恐れず表現するもっとも画家らしい姿勢を崩さぬ画家なのである。甘い曲線の登場人物を現実の悲劇になぞらえるギャップが、何とも不気味なリアリティをかもし出し、何とも不思議で不気味でもある。会期中はボテロの彫刻がDUOMO周辺に設置され、大人気。私が彫刻の前を通ったときも、何組もの観光客が彫刻の前で記念撮影を行っていた。会期を過ぎても探せば必ずミラノに限らず、世界中どこかのギャラリーで、ボテロの作品を展示しているところが何件もある筈。興味のある方は、探してみてくださいね。日本にもおそらく数点は入ってきている事でしょう。

 私自身は今一つ、このボテロのスタイルをじっくり見てみたいと思えないため、野外彫刻のみで満足している…としたいところ。しかし今回の展示では150点余りのボテロ作品が集結とあるので、好奇心はある。絵画の世界をもっと知るため…というよりは怖いもの見たさで、時間が許せば行ってみるべきか。

まだ余裕がある!しかし気は抜けない。

 ここまで、今このブログを読んでくださっている皆さんには、過去の情報をお届けしているわけなのでお詫びしなければなりません。お詫びのかわりにまだまだ余裕のある展示をひとつご紹介。

 もう見逃すまい!同じくパラッツォ・レアーレで行われている11月11日終了の展覧会。(いまこの記事を書きながら、展示会期をつかさず手帳に書き込んでいます。反省の現われともいえる行為!)その名も“Italian Art 1968-2007”。イタリアの現代作家200点以上の作品が一挙に見られる素晴らしい機会。主に平面作品が展示されるという所も、映像や立体に押されがちな現在のアートシーンから見ると、魅力的な要素です。イタリア近・現代作家にまだうとい私にとっては、まさに勉強するチャンス。バカンスでスタートダッシュが鈍った9月、後半挽回しなければいけませんね。


展示情報
イタリアンアート 1968-2007 (Arte Italiana 1968-2007. Pittura)
会期:2007年11月11日まで
場所:パラッツォ・レアーレ Palazzo Reale(Piazza Duomo 12)


写真1:ボテロの彫刻、巨大な猫。DUOMOを背景にしてもこの迫力。

写真2:ボテロ展とフェッローニ展ポスター。ジャンフランコ・フェッローニ(1927-2001)展も行きたいのですが…。

写真3:パラッツォ・レアーレ。過ぎゆく展示の情報が。“Italian Art 1968-2007”と共に知られざる画家“マリオ・カヴァリエーリ展”は11月11日まで!

写真4:展示会場付近にはよく行くものの、なかなか開館時間内に行けず。ミラノの秋の夕暮れ空です。

8/01/2007

2007.08 イギリスの強さを借りて、寄り道を。

イギリスの強さを借りて、寄り道を。

前回7月の記事でも“行き当たりばったり旅行”の事を書きました。行き当たりばったり精神に、少し計画性が加わると、さらに旅は楽しくなります。ちょっと前までは高かった航空券も今は、どこでもそれほどでもないですね。そしてヨーロッパ在住の強みは、近隣の国に国内旅行と同じ(もしくはそれ以下!)予算で行けてしまうこと。ヤッホー!

 英国の激安航空会社

格安航空会社の代表的存在“ライアンエアー”。20~100ユーロが定番ですが、時折2ユーロ、5ユーロなんていう恐ろしい価格の航空券も見られる価格破壊の先頭を切って走っているイギリスの航空会社です。勿論空港税や荷物の数、保険の有無などによって最終的な価格は変わってくるのですが、それでもやっぱり安い!今回夏休みを利用して、“憧れの英国旅行を激安で”をモットーに、色々な角度で格安航空券を検討してしました。まずは格安航空券の総合サイトで日程と値段の関係を検討。税金を込めた最終的な価格がどのサイトで購入すれば一番安くなるのかを割り出し、ryanair.comで直接購入するのが一番お安いと確信。そしてライアンエアーサイトで航空券を探してみると、ミラノ-ロンドン間のチケットと、ミラノ-ベルギー(BRUSSELS)-ロンドンと2つ飛んでみた場合の価格がほぼ同じ、そしてその方が激早朝の6時の便や夜中の0時に着く便に乗らなくとも(これも激安チケットの理由のひとつ!)その日の中の良い価格帯のチケットを入手できる事がわかりました。ベルギー・BRUSSELS…街の面積に対して美術館の密度が大変高い街。これは寄り道しないわけにはいかないでしょう!

 なるべく安く…も見極めが大事です。

結局のところまたもや“行き当たりばったり”と憧れで決めた旅先。しかし、今回はここで妥協すると激安旅行の目的が失われてしまうので、Booking.comというホテル予約サイトでお安いホテル(朝食抜きで2名75ユーロ。ロンドン行きの便は8時45分発なので、朝食はどちらにしてもホテルではとれないでしょう…)をあらかじめ予約。トータルで考えても直行ロンドンとトントンのお値段で収まりました。インターネットって本当に素晴らしいですね。
 さてさて、BRUSSELSに到着。さすがに旅立つまで仕事(バイトです)に追われ、当日の予定は白紙のまま。目ざとくインフォメーションで観光地図とガイドをもらい、空港からBRUSSELSのMidi駅までのバスの中で計画をたてます。100の美術館ガイドというページがあり、さらに美術館入館券(市内のほぼ全美術館にて有効)と市内の交通機関の切符がセットになったパスを発見。1日有効券は20ユーロで、これはお得!と思いましたが、街に到着するのはお昼ごろ。美術館の閉館は5時~6時というところがほとんど。入場券も5ユーロ程度のところがほとんどなので、これはお得か微妙なところです。きっと最高2館で終了してしまうだろうと考え、入館料は個別に支払いバス、地下鉄、トラムの一日有効券(4ユーロ)を購入することに決めました。

  やっぱり本物は味が違う!

 日本でも2006から2007年春にかけて、大規模な400年記念展が行われた“ベルギー王立美術館”。ルーベンスやヴァン・ダイクなどの古典絵画と、ポール・デルヴォー、マグリットを初めとする近代絵画の巨大なコレクションを有する美術館です。有数の名画をそれだけ数多くもてるということは、しっかり保管できる場所を有しているということを意味しますね。さて、行ってみるとホントにデカイ!!入口からして広く、はじめのフロアーからダビッドの巨大作品を拝むことができます。直進すると古典絵画コーナー、右に折れてエスカレーターに乗ると近代絵画の展示コーナーになっています。

 ショートケーキ(が好きな場合ですが)を食べるとき、イチゴを最後に残すか全部を満遍なく食べるか…、イタリアではこんな表現があります“Mettere la ciliegina sulla torta”ケーキの上にさくらんぼをのせる。ケーキの上に小さな赤いさくらんぼをのせることで、最後の大事な仕事を終える。最後の一番大事な場面を表現する言い方ですが、感動的な瞬間を最後に残す、という場合に使っても良いようです。イチゴの場合はケチというか“もったいない精神”が表れている感じがしますが、こちらのさくらんぼ表現の場合、感動を待ちわびるドラムロールが、その瞬間が近づくにつれ聞こえてくるようなワクワク感があるような気がします。

 …で何を言いたかったか、と申しますと、ほとんど全ての作品がメイン作品といえるこの美術館において、さくらんぼを決めるのは至難のわざ。しかしここは、やっぱり何といってもブリューゲル!(ピーター・ブリューゲル父。ちなみに同名の息子の作品も、父の作品と同時に見ることができます。)若くしてこの世を去った天才画家として、日本でも知らない方を探すほうが難しいほど知られ、その作品は世界中に散らばっていますね。しかしここブリュッセルに住み、最後のときを過ごした…というだけあって、ここのコレクションは見逃せません。
 まずは近代絵画ゾーンを駆け足でまわります。しかし、駆け足なんてそんなにうまくいくわけもなく、大好きなアンソールの作品の前で驚愕の声を挙げ、やっぱりマグリットの前でたたずみ、ダビッドの『マラーの死』ってここにあったのか!!と動揺していたらあっという間に時間は過ぎ、やっと古典絵画ゾーンに戻った頃には2時間半が経過。ここはとにかくブリューゲルゾーンに直接突入。無関心な人々の描写の片隅に、ひそかに墜落している『イカロスの墜落』恐ろしい化け物集合の『反逆天使の失墜』息子の模写と比較して楽しめる『ベツレヘムの戸籍調査』『謝肉祭と四旬節の喧嘩』ちょっと離れた場所に『聖マーチン』etc…やっぱり本物は凄い。後ろ髪引かれながら移動しようと思いきや、すでに時計の針は4時30分。それでもがんばって5時半まで開館しているアール・ヌーヴォーの巨匠ヴィクトル・オルタの家に行ったところでタイムリミット。その後遅くまでねばって、美術館近くに散らばるオルタの建築作品を探し歩いたのは、いうまでもありません。いや、歩きすぎて足が筋肉痛になってしまいました…。

写真1:これが噂のライアンエアーです。

写真2:ブリュッセルの中心街。

写真3:ブリューゲルの絵を、鑑賞する人と模写する学生さん。観ることに対しての目的が違う人々。(ベルギー王立美術館)

写真4:ブリューゲル。現代絵画をも圧倒する迫力があります。

7/01/2007

2007.07 ピエロ・デッラ・フランチェスカ大展覧会

街中が一つになる。ピエロ・デッラ・フランチェスカ大展覧会

ピエロ・デッラ・フランチェスカ(PIERO DELLA FRANCESCA 1413頃-1492。生誕について専門書の記述には、かなりばらつきがあります。)はイタリア15世紀を代表する画家。イタリア旅行といえばフィレンツェ、フィレンツェといえば見逃せないのが今年の春、太っ腹にもレオナルドの受胎告知を東京国立博物館に貸出したウフィツィ美術館。ピエロ・デッラ・フランチェスカとは、このウフィツィの主要展示の一つとされる“ウルビーノ公フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ夫妻の肖像”を描いた人物なのです。近年日本でも優れた翻訳書や研究書が次々と発行されたので、すでにご存知の方も多いことかと。この偉大なる芸術家の大規模な展覧会が、現在トスカーナ中東部のアレッツオ(Arezzo)の中世・現代芸術国立博物館を中心に行われています。

 ちょっと海に行くつもりが…

わけあってリミニへ。リミニはエミリア=ロマーニャ州のアドリア海に面する都市で、ローマ人による貿易港として栄えた偉大な古代の都市。現在も商業という面で言うと、見本市がありボローニャ等の都市にも近いため、平日はビジネスマンが多く見られますが、何といっても夏は海!海水浴地としてその名はイタリア中に知られ、比較的安価な夏のみ営業の宿が多いことも手伝い、毎週末お友達グループと通っていると思われるお年寄りや、家族連れの姿が多く見られます。
 先週末、ミラノからアドリア海沿いにペスカーラより更に奥のアブルッツオ州、スルモナという街まで行く機会がありました。結婚式で配る砂糖がけのアーモンド菓子“コンフェッティ”発祥の地ということもあり、小さくとも大変華やかな観光地。グラン・サッソを眺める広大な自然に囲まれた宝石のような都市です。しかし…ミラノからはとっても遠い!車を持たない私達は8時間ほどゴトゴト電車で南下。着いた頃には座りすぎで。お尻も少々痛くなっていました。更に帰りもひたすら電車に揺られて、車窓に広がる眩いアドリア海を、指をくわえながら眺めるだけで暑いミラノに帰るのか…いや、それではつまらないぞっ!と、勘に頼って途中下車を決行。土・日何なら月までならと、MIRRO2名、誠に勝手ながら休暇を取ることにしたのでありました。はじめの下車駅はサン・ベネデット・デル・トロント(San Benedetto del Tronto)というマルケ州の都市。偶然通りがかった海岸沿いにあるホテルに恐る恐る値段を聞き、案外お安いので一晩の宿を即決そして早速、(とは言っても午後5時に)人影の少なくなった海岸へと走り海へドボン。この日の喜びと開放感は、全く忘れられません。翌日リミニに移動し、大変親切な駅前の観光案内所でホテルを予約し、やはり海へ。しかしこの行き当たりばったりの途中下車の旅路、私達の頭中では一つの計画が常に実現に向かって育まれていたのでした。

 電車がダメならバス。直線距離なら近いトスカーナ。

リミニの中心街には、マラテスティアーノ寺院(Tempio Maratestiano)というちょっと変わった教会が存在します。何が変わっているかというと…見れば一目瞭然。ローマ様式を汲むアーチのデザイン、大理石できっちりと組まれた外壁の中に、前面中心の上部からレンガ造りの教会の一部がひょっこり顔をのぞかせている所。1448年からリミニの時の君主シジスモンド・マラテスタ公に召喚され、建築家レオン・バッティスタ・アリベルティ(かの有名なフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会正面のデザインを担当した建築家といえば、ルネッサンス様式を開拓し築いた重要人物であることが伺えるでしょう)が中心となり以前13世紀にはサンフランチェスコ聖堂であったこの建物の改装をはじめたものの、マラテスタ公の死により計画が中断し現在の形で残されたという話。そんな歴史を辿るこの寺院には、冒頭で説明をしたピエロ・デッラ・フランチェスカの作品“聖シジスモンドとシジスモンド・マラテスタ”もまた、残されているのです。

 今では修復も完璧に施されたこのフレスコ画の前に立つと、この芸術家がどれほどの技量を持ち、暴君として知られ、しかし芸術に関しては誰よりも造詣が深かったというマラテスタ公による命を誠実に、そして冷静にこなす人格を備えた人物であったのか、時を越えてこの絵自身が証人として教えてくれるように感じます。言葉を失うほど、説得力のある完璧な画面構成。綿密な計画と確かな技術によってはじめて得られる完成度の高さ。
 ここでこの壁画を見てしまったなら、そしてこの駅前から美術展が行われているアレッツオまでのバスが出ていると知ったなら、行かないわけにはいかないでしょう!というわけで、私達は迷わず偶然の休暇最終日を締めくくる一日を、アレッツオで送る事に決めたのです。
 バスが出ているといっても、一日にたった一本のみ。電車での移動は大変面倒なので、駅員さんも観光案内所のお姉さんも、誰一人として勧めてはくれません。イタリアの地図を見ればリミニはちょうど向かって右の脇の下の下側あたり。アレッツオはそのまま左に行って言わば“みぞおち”あたり。電車の場合は一旦上に上がってボローニャ、そこから乗り換えて斜め下のフィレンツェまで降りるジグザグコース。しかし車で旅をするならば、スパッとほぼ直線距離で測ることができるのです。それでも時間は4時間程かかるのですが。

 駅からすぐに展覧会

 今回の展示は、ピエロの主な作品が見られる三つの都市を結ぶという趣旨があるようで、どのポスターにもパンフレットにも、アレッツオ・モンテルキ・サンセポルクロという三都市名が記載されています。モンテルキはピエロの母親の故郷であり、崇高な美しさを持つ壁画“出産の聖母”が。サンセポルクロはピエロの故郷なだけに“キリストの復活”等の主要な作品が多く残っています。そしてアレッツオではピエロの出世作とも呼ばれる傑作“聖十字架伝説”を聖フランチェスコ教会の祭壇奥、Bacci礼拝堂に見ることができ、大聖堂には美しい“マグダラのマリア”が待っています。これらは展示期間を過ぎたとしても、開館時間には見ることのできる作品。(聖十字架伝説については間近で見るためにはチケットを購入する必要があります。)3都市の距離は比較的近いとはいえ、車がなければモンテルキ、サンセポルクロまでは本数の限られたバスで時間をかけてゆく事になります。交通機関の不便さに関しては特別展期間も変わらない様。私達も今回は涙を飲んで、アレッツオのみ駆け足でまわる事にしました。
 当初の計画は、〔駅で鞄を預ける〕→〔聖フランチェスコ教会にて壁画鑑賞予約〕→〔美術館〕→〔壁画鑑賞〕→〔ヴァザーリの家や他教会等を見学し、大聖堂に登る〕とざっくり決めてかかっておりました。ところが、スタート地点からすぐに問題発生。駅員さんに鞄をどこに預けようかと訪ねたところ“手荷物預かり所、コインロッカーは一切排除されて今はないよ!残念だけど。”という返事が。動揺しながら行った観光案内所でも同じ答えが。しかし、「美術館には荷物預かりがあるから、まず美術館にいって荷物を預けて教会にいってみたらどうかしら?」という案内所のお姉さんのアドバイスが。1日荷物を預かってくれる美術館なんてあるのだろうか?と拭えぬ不安と重い荷物を抱えながら美術館に行ってみると、拍子抜けするほど快く、荷物を預かってくれました。更にBacci礼拝堂の壁画鑑賞予約もすべてここで完了。ホッとした途端に朝食を取っていなかった事を思い出し、身軽さと期待と、そして空腹を道連れに美術館を後にしたのでした。(…書き続けると1年かかってしまう程、内容の濃い展示だったため、ひとまずこれにて。)

展示情報
PIERO DELLA FRANCESCA E LE CORTI ITALIANE
公式サイト:http://www.mostrapierodellafrancesca.it/
場所:AREZZO (MUSEO STATALE D’ARTE MEDIEVALE E MODERNA) , MONTERCHI , SANSEPOLCRO
期間:2007年3月31日~7月22日(残すところあとわずか!)
メイン会場の中世・現代芸術国立博物館には、ピエロの貴重な作品ウフィツィ美術館収蔵の“ウルビーノ公フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ夫妻の肖像”(2枚のパネル表裏2面に描かれた珍しい2連肖像画)、ルーブル美術館収蔵の“シジスモンド・マラテスタの肖像”、ヴェネチアはアカデミア美術館収蔵の“聖ヒロエニムスと寄進者”、ウルビーノのマルケ国立美術館収蔵“セニガッリアの聖母”が集結。時の権力者との関わりや時代背景、作風や題材を知るための資料として、ピサネッロのメダルやスケッチ、フィリッポ・リッピ作品など当時活躍していた芸術家、知識人達の作品も展示されています。他、数学家としてのピエロを表す資料や、今まで公開されていなかったプライベートコレクションの初期ピエロ(とみられる)作品も見ることができます。

写真1:マラテスティアーノ寺院。建物の裏に回ると、どこまでが改装され大理石に覆われているのかが、よくわかります。

写真2:左:聖フランチェスコ教会。内部に“聖十字架伝”が。中:大聖堂内部。右:大聖堂にある“マグダラのマリア”

写真3:ここにもそこにもあそこにも!今回の展示ポスターや標識が駅をはじめアレッツオの町中に。

 

6/01/2007

2007.06 風邪にも負けず、美術展。

風邪にも負けず、美術展。

先週今週と、ここミラノは不安定な気候。薄手のコートや何ならセーターを引っ張り出したいような寒さの後には、湿気を伴ったムワッと暑い日が待っている…。「のどが痛い」とつぶやきゴホゴホ咳をするサラリーマン、電車でブンブン鼻をかむ女子学生。“風邪が流行ってるのか。いやだなぁ”と思いつつ、体だけは丈夫が取柄の私も、気まぐれな初夏の天気と疲労のためか、ついに流行りものを頂いてしまいました。

 風邪をひいたらどうするのか?

ミラノに来てから、そういえば風邪を引いたことがありませんでした。風邪を引いたらとりあえず、ビタミンCを取る。アスピリンを飲む(風邪薬というイメージは日本では薄いアスピリン。こちらの人は何かに付けてアスピリンを常用するのです)。暖かくして寝る。仕事の予定をずらす。仕事を休む。そして行きたい美術展を我慢する…しかし、これが一番の難関だったのでした。

 前回ご紹介しましたODIEMMEの展示“L’ARTE SOSTIENE L’OPERA DEL MONDO”を友人達と観に行くという計画。(詳細は前回5月のブログをご覧ください!)チャンスを逃すと2日後には展示終了というタイムリミットもあり、自分の体力を過信して強行。幸いその日は暖かい日差しに恵まれ、喉の痛みも体のだるさも一瞬忘れるような爽やかな風も時折感じられ、たわいもないおしゃべりをしながら会場となったCasa dell’Energiaへ向かいました。
 初日のオープニングパーティーと講演会では、来場者が会場を埋め尽くし、あまりにも大盛況であったため、そしてすぐ後に予定が詰まっていたため、作品をまともに見ることができませんでした。しかしこの日は、会場には私達以外一切来場者なし!ゆっくり鑑賞できたので良いとも言えますが、これだけ静かだと、もっと積極的に広告をするべきではないのか?という疑問も同時に湧いてきます。とにかく数点売却済みの印が付いていたので、チャリティーの目的はそれなりに果たせているのでしょう。

 都市とは?~私達もその景色の一部なのか。

 会場で一際目を引く存在が、マルコ・チルニリアロの作品4点の小品と1点の大作からなる“交差点シリーズ”。交差点は、十字路(インクローチョ)とも言いますね。十字というと十字架(クローチェ)を思い出します。日々の生活の中で何気なく通り過ぎ、すれ違う(インクロチャーレ)人々や物事、画面全体に交差点を描き入れるということは、かなり引いた視点を取っていると思われます。ちょうど横断歩道でふと足を止めて、欄干に手をかけ身を乗り出して下を覗き込むのに似た感覚。普段ならば群集の中にまぎれて、数多くのすれ違いに身を委ねている私達。この絵を見ていると、普段見られない、つまり普段はそこを渡り通り過ぎる一人の人でしかない自分が、その景色の全貌を第三者の視点から眺めるという不思議な感覚に誘われます。いつかご本人に、どのような気持で描かれたのか伺うことができたなら、またこの場でお伝えしたいと思います。
 そして忘れてはいけないMIRROのメンバー、ロッコ氏の作品。小ぶりであるのが幸いしたのか数点すでに売約済みとなっていました。オープニングでも「これはミラノの景色か?なにか行ったことのあるような…」という感想も聞かれた作品。無機質でありながら生き生きした色を使い、しかし何かノスタルジーを誘う画面。約3メートルの壁面、個々に当てた暖色系の照明がさらに効果をあげて、それぞれの絵と静かに対話できるようなスペースとなっていました。

 お粥のかわりに何を食べる?

 展覧会ツアーを終えた後、それ見たことか!といわんばかりに私の風邪は悪化。数日まともに会話ができないほどの咳に悩まされ、下を向いては息ができず、いや今回はホントに辛い一週間を過ごしました。そんな中でイタリアではお粥のかわりに(お粥も食べますが)pasta in bianco(パスタ・イン・ビアンコ~白いパスタ)を食べるということも知りました。つまりは何も味付けしていない、ゆでただけのパスタということなのですが…。さすがにそれでは物足りないので、皆さんバターを乗せたり、オリーブオイルや粉チーズをかけて食べるそうです。季節の変わり目、皆さんもどうぞ体調にはお気をつけて!